1991年・ホンダビートを落札して九州へ引き取りに行った件

ホンダビートをオークションで落札をしてしまった。

オレも今年2024年4月に還暦をむかえ、いろいろとケツもキビシクなってきている。ずっと思ってきたのだが最後にスポーツカーが乗りたいと・・・

しかしいまさら大排気量だったり3ナンバーだったりでかい車には乗りたいと思わない。適当に身の丈にあったあまり負担のかからない、そしてガレージから出すのも億劫にならない程度の車。

昔からシビックやCR-X乗っていた口なので最後くらいスポーツカーを乗りたいなと・・ただ今の車はあまりに大きくまた電子制御されすぎて性にあわない。さらに500万円なんて出す気はないし。

ちなみに候補としてはBMW Z3とかミニのコンバーチブルとかロータス・エリーゼとかをずいぶんと探していました。まーZ3は予算内だけどすぐ壊れそうだし、ミニはMTがほぼ無いしFFだし、エリーゼは予算オーバーだし・・・さすがにS800やヨタハチくらい古くなると、マジでヤバそうだし。

外車はあとあと大変そうだし、やっぱ国産車がいいなと。あとウチのガレージにはいるくらいの大きさ・・そんな感じの車をあれこれ探していました。

そう、百万ちょい程度の予算で10年くらい楽しめそうなスポーツカーを探していましたが、この度いい出物を見つけたのです。それがホンダ・ビート!

この記事に書いてあるコト

ホンダビートとは?

ホンダビート

1991年にホンダより発売されたビートは、量産車として世界で初めてMR・ミッドシップレイアウトとフルオープンモノコックボディを採用した・・・それも軽自動車。

軽自動車で世界初が目白押し

バブルの時期とあり、かなりの開発費が投入されたようで世界初という部分がかなりある。

たとえば世界初というものは以下のような部分に投入されている。

  • ミッドシップレイアウト軽自動車
  • 量産車として世界で初めてミッドシップレイアウトとフルオープンモノコックボディを採用した
  • フロント13インチとリア14インチの異径ホイール
  • 軽自動車で4輪ディスクブレーキ
  • 軽自動車でSRSエアバック(運転席のみ)
  • 軽自動車の自主規制いっぱいの64psをノンターボのNA・自然吸気で実現
  • 普通車でもあまり採用されていない3連スロットル

またビートのギアボックスは5MTのみの設定です。オープンカーといえども軽自動車で5MTのみとはかなり思い切ったものです。

もしビートにAT設定があれば、もう数万台の上積みがあったかもしれません。たぶんオープンでATのないモデルなんてロータスエリーゼくらいじゃないですか?

もちろんエンジンパワーを犠牲にするパワーステアリングなどはありません。ラック・ピニオン式パワー腕アリングとなります。ただエアコンは普通についているので、気軽に足としても使えるのはうれしいポイントでしょう。

F1の技術満載の自然吸気エンジン

ホンダビート

ホンダビートに搭載されている「E07A型」エンジンは、その当時のトゥデイやライフなどにも搭載される汎用エンジンです。

そこでビートにこのエンジンを搭載するにあたり様々なチューニングがされました。それによりNA・自然吸気ながら軽自動車規格の660ccという排気量で上限いっぱいの64psを発揮。実にリッター約100馬力を実現しているのはマジで驚き。

特筆するべきはちょっとしたスポーツカーでもあまり採用をされていない3連スロットル。各シリンダーに独立したスロットルが搭載されている。金かけすぎだろ。

また小排気量で余裕がないところに高出力なのだから、低速域でイマイチになりそう。そこでホンダ独自のエンジンシステムは、「MTREC」というものが乗っている。(Multi Throttle Responsive Engine Control System)

これは2つの燃料噴射制御マップを切り換えるように設計をされているそうだ。

出力を得るために安易にターボを使わなかったのがホンダらしいし、NAエンジンというのも本当にうれしい。

最高出力の64psは8,100rpmと極めて高い回転数となっている。当然エンジンはリアに搭載されているからアクセルを踏むと後ろがうるさいw

燃費がマジでいい

こんなに高回転のエンジンが搭載されていると、常用回転数もけっこう高い。ちなみに高速道路を90km/hで走るとエンジン回転数は5000rpmほど回っている。かなり高回転ではないだろうか。N-BOXなんて3000も回っていなかったような・・・

こんなに回転寿が高いエンジンだと、燃費もさぞ悪いのでは?と思いがちだが、実はビートはかなり燃費がいいのだ。

高速道路を80-100km/hで走れば、だいたいリッター18kmは走る。

一般道を60km/hあたりを目安に巡航すると余裕でリッター20km走る。燃料タンクが24Lなので普通に400kmは走るからうれしい。

けっこう積載性能がある(S660に比べて)

S660

なんでS660じゃなくてビートなの?・・・よく聞かれました。

S660の積載能力は無いに等しいのです。それに対してビートは積載性能がかなりあると思います。実は以前エニカーを使ってS660は2日間にわたって乗ってみた。

S660の収納場所は助手席だけです。2人乗ったら本当に助手席の足元だけだし、オープンにしたら唯一フロントボンネット内にある収納スペースも幌トップがはいる。

タルガトップのためシートの頭後ろにもスペースは無い。

S660はマジで収納スペースがない。これでは嫁さんを乗せて泊りがけツーリングや旅に出かけることはほぼ不可能だ。

対してビートは・・・実は収納スペースが結構あるのです。

ビートには世界一狭いトランクという、ラケット3本分のスペースが確保されています。またフロントボンネットを開けるとスペアタイヤがあり、このスペアタイヤをどかしぴったり収まるコンテナボックスを備え付けることができる。

また幌ソフトトップのため幌収納スペースがあり、運転席助手席の頭後ろにけっこうなスペースが有る。買い物ビニール袋なら4、5袋のるかもしれない。

またオプションにはなるが、リアトランク上にキャリアを取り付けることも可能だ。これだけのスペースが有れば、泊りがけツーリングはもちろんコンパクトなキャンプ旅くらいできそうだ。

現時点での残存台数が驚異の半数以上!

ホンダビートの総生産台数は3万3892台となっている

そして2021年12月時点の全国残存台数は1万7072台であることが報告されているらしい。この時点で約半分。そこから2024年と3年経っているから1割位は減っているだろうか。それでもまた15000台程度は残っているはずだ。

平成ABCトリオである、AZ1やカプチーノに比べると相当数が残っているのはとてもうれしい。

これだけ残っていること、とてもいいことがある。以下の3点。

  • ホンダがパーツの再販をしてくれた
  • 日本中に専門ショップがある
  • 程度の良い中古パーツが手に入る

こんなにも愛される車はビート位しかないのではないか。そんなふうに思ってしまう。

ホンダビートをいくらで落札したの?

即決130万円で落札しました。

1991年5月発売ベースグレードが138万8,000円なので、ほぼ新車価格ですな。

でもね、このビート見た時にマジでこんな程度の良い個体がまだ現存しているのか?・・・と1時間後には落札をしていました。あかん。

ホンダビート・九州引き取りの旅

まず今回のビートは走行距離約5.2万キロという低走行車ではあるが、1991年式で33年も経過している立派な旧車となる。車がある場所は福岡県。

現オーナーに使用状況などを聞かせてもらったが、これまでの最長走行距離は、この車を鹿児島から引き取りに行った230kmが最高とのこと。

それからは大切にガレージに保管。負担をかけないために幌や助手席を外して近所の河川敷を週末などに流す程度とのこと。

コレまでの整備や交換部品などを聞いてみたところ、普通に車検整備をしていただけだそうだ。タイミングベルトやそれに付随するウォーターポンプなども未交換。

さすがにこの状態で埼玉まで約1200km走らせるのは無謀だろう。門司→横須賀フェリーを考えたが、フェリー乗り場までの約100kmや横須賀から埼玉までの距離もそう近くはない。

そんなわけで、現オーナーに現地の修理工場を紹介してもらい、最低限タイミングベルトやそれに付随するパーツを交換してもらった。ちなみに修理工場は鳥栖にある。

2024年7月25日(木)ジェットスターで福岡県へ

昨日の時点でビートの整備は完了をしている。空路で福岡入りする。

普通の人だと埼玉から福岡へ車引き取りで腰が引けるだろう。オレの場合はキャンカーやバイク、そして自転車でしょっちゅう九州に行くのでまったく抵抗はない。

しかし序盤からマイナートラブルが発生。まずはフライトが朝の時点で35分遅れアナウンス。成田空港に着くと12時50分が過ぎても動く気配がない。

結局1時半過ぎにフライト。15時過ぎに福岡到着。さらに福岡空港上空に雷雲発生して空港オペレーションがすべて止まるという事態も発生。

ウチらの飛行機の後ろは福岡空港に降りられなかったことは、とりあえず不幸中の幸い。

やっとこ飛行機を下りることができたのはほぼ17時・・・14時半到着予定が約2時間半遅れ。自動車工場の営業が18時なので新幹線で行く予定ではあったが、たぶんぎりぎり。

さらにその後ビートに乗って、福岡市内の自転車友達のところに泊めてもらう予定だったので・・・車引き取って説明聞いて暗い中慣れない車で走って到着20時過ぎでは申し訳ない。

友人は今日は休日ということで、待たせるのも悪いし早く呑みたいw

というわけで、この日のビート引取はあきらめ福岡の友人宅へ直行する。

友人は自転車・バイク仲間で毎年一緒に走っている。自転車・バイク談義に花が咲く。

2024年7月26日(金)ビート引き取り香川県へ

ついつい友人宅でのんびりしてしまった。博多より新鳥栖へ向かうのだが、いい時間帯の新幹線がないので在来線特急で向かう。新鳥栖へは博多より長崎方面の列車に乗るのね・・・土地勘がわからん。

10時半ころ新鳥栖駅到着。新幹線駅なのにタクシーがいないw

10分待った。自動車工場へいそぐ。

ビートご対面。このあとナンバーを付けて、交換部品の説明を受ける。

走行距離は51988kmだった。ここからオレが距離を伸ばしていこうと思う。まずは今日香川県まで約450km走る。

ナンバーは「1991」を希望ナンバーで取得した。鳥栖インターはいる前にガソリンを入れる。

ところでビートのガソリン給油は本当にやりにくい。ノズルを全開にするとすぐに止まってしまう。ノズルハーフでゆっくりいれる必要があるようだ。

こりゃスタンドの店員に任せるのは難しそうだな・・・

関門橋を超える。エンジンは好調だ。走って楽しいが車内はうるさいw

さすがに450kmをワンタンクでは走れない。高速道路の高いガソリンを渋々入れる。164kmで8.9Lだった。燃費は18.4km/l・・・いいんじゃないの。エコランすれば余裕で走りきれたかも。

巡航スピードは初ビートの初高速だったので80-100km/hあたりで走った燃費。たぶんこの上のゾーンにはいると悪くなる。そして60km/hあたりで巡航すると余裕でリッター20km位走りそうだ。

燃料タンクはたしか24Lのはずなので、燃費がいいのは助かる。

18時半には香川県友人宅(漂流工房の漂流さん宅)に到着。うどん屋はほぼしまっているので、普段いかないファミレス呑み。

香川の友人は電気屋でウチのキャンカーの設備や改造をすべて任せている。彼も同じアウトドアジュニアに乗っているので、任せてマジ安心。その彼にビートの電気周りやドラレコ取り付けなどをお願いに来た。

ちょうどいい中間点だしね。

その後ビートをチェックして彼のアウトドアジュニアに寝かせてもらった。

2024年7月27日(土)ビートにドラレコなど設備

まずは海侍でひやひや。ウマい。

その後漂流さんはビートの整備。マジで暑い・・・

漂流さんが酷暑の中・・整備作業しているのを横目にオレと大阪しぶちょーはエアコンの効いたキャンカー内で昼呑み宴会。絶対にバチが当たる。

夜は香川県名物の一鶴骨付き鶏ウマい。

その後漂流さんは23時過ぎまでビートの整備作業・・・本当にお疲れ様です。

2024年7月28日(日)ビート作業終了で埼玉へ夜通し帰還

とりあえず香川県はうどんでスタート。

名物甘玉うどん。奥にある醤油差しに甘いタレが入っていて、それをかけて食べる。なかなかウマい。

ビート改修整備がすすむ。

16時過ぎに完了。

もう1泊して明日の月曜に帰ろうかと思ったが・・・夜涼しい時間に走るほうが人も車にも優しいはず。ということで、今日中に埼玉向けて出発。

今年の2月もキャンカーで帰還した時に夜通し走ったから、巡航スピードの速いビートなら楽勝だろう。

出発前の腹ごしらえ。今回のさぬきうどんラストは麺通堂でかけひやにおでん焼き豆腐の甘味噌のせ。ウマい。

ガスを補給して19時前に香川県スタート。瀬戸大橋経由で新名神をめざす。

あまりに暑くてぐだぐだベタベタだったので淡河PAでシャワーを浴びる。10分300円。さっぱりした。

途中刈谷PAで給油。ここまでの距離390km。ちょうど20リットル補給で燃費はリッター19.5km/Lか。燃費いいなー。夜は涼しいのでエアコンが控えめになるのもいいのかもしれない。

その後新名神、伊勢湾岸、新東名、圏央道を乗り継ぎ厚木PAに5時前到着。自宅には6時に到着をして駐車場にあるキャンカーで一眠り。

香川県から約750kを高速道路11時間の旅でした。

まとめ

ホンダビートを買ってしまい、九州福岡より自走で埼玉へ帰ってきました。

これからビートのいる生活が始まります。まずはボディーコーティング、そしてビートガレージさんでECUの整備、茨城のイソマサオートさんに持ち込んで検車をしてもらう予定です。

安心して乗れるようになったら早速北海道にでも行ってこようと思っています。